2012年度、愛知大学国際コミュニケーション学部の演習科目国際フィールドワークにドイツコースが加わった。
他のコースと同じようにドイツコースも1年を通じて開講される。
2012年度は、
というスケジュールであった。
- 春学期:事前授業
- 夏期休暇中の現地調査:9月1日(金)から9月15日(木)までの13泊15日(14泊目は機内)
- 秋学期:調査結果の報告、レポートの作成、さらに年度末の報告書の作成
このサイトは、年度末にまとめた紙媒体の報告書、すなわち『ドイツフィールドワーク報告書(1) ―ドイツ現代史の観光資源化―』をウェブ版に練り上げたものである。
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授業の目的について述べたい。
国際フィールドワーク・ドイツの目的は、学生にフィールドワークの方法を習得させることにあった。
そのうえで、学生に強調したのは以下の二点である。
第一が、具体的なモノに注目することである。実はフィールドワークは慣れ仕事としての性格が強く、習得は一筋縄ではいかない。全くの初心者に2週間一回きり、しかも母語がほとんど通じない環境下でフィールドワークを有意義に経験してもらうには、ある程度の具体性が必要と考えたからだ。
第二に、学生にはできるかぎりオリジナルなデータを集めることも課した。価値のある情報を適切な形で世間一般に提供するという一連の実践、それを学生に教えることがいかに重要であるかは日々痛感しているが、まず第一に「価値がある」とはどんなことなのかから分からなければならない。そのためには「まだ誰も言っていない事実」を見つけさせることが最適である。
こうして学生が作り上げたものが以下に続く各個人調査報告である(またイーストサイドギャラリーの全壁画の記録も同じ観点から取り組んでいる)。
一方で、参加学生には英語で質問表を用いた調査に取り組んでもらった。ほとんどはドイツ語が不得手であったが、たとえそうだとしても聞き取り調査は経験する価値があるという考えからである。予想以上に学生が楽しんでいたことは今思い出しても嬉しい。そのまとめが「聞き取り調査のまとめ」である。
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以上のような教育面以外に課題となったのがセキュリティに関してであった。ドイツは治安が良いと言っても、学生はどこのなにが危険なのか皆目見当がつかない。そうした中でトラブル無しに全日程を済ませることができたのは学生たちが引率側の指導に忠実に従ったからであろう。
また“2週間ぶっ続けの授業”というのも、教員にも学生にも初めての経験であった。お互いに多少のストレスがたまるにもかかわらず、現地調査をやり遂げ、さらにこうして報告書までまとめることができた。参加学生に感謝したい。
この授業で得た経験を今後の暮らしの中で活かすことができれば、望外の喜びである。
最後になるが、このプログラムをバックアップしてくれた愛知大学ならびに国際コミュニケーション学部の関係者全員に深く感謝したい。
私たちのフィールドワークが本学本学部の発展に少しでも寄与できればと思う。
岩田 晋典
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