KaDeWeの商品はどの程度高いのか?
―スーパーマーケットの食品価格との比較―
10k2026 松田芽生
目次
1.はじめに
2.KaDeWeとは
3.比較したスーパーマーケット
4.ハム・ソーセージの比較
4-1.ショーケースで売られているもの
4-2.パックされ棚に陳列されて売られているもの
5.チョコレートの比較
5-1.ショーケースでばら売りされているもの
5-2.箱で棚に陳列されて売られているもの
6.その他の食品の比較
6-1.バームクーヘン
6-2.レープクーヘン
7.まとめ
1.はじめに
ドイツの百貨店であるKaDeWeは一般的に高いというイメージがある。では一体どのくらい高いのだろうか。そこで私は、老舗百貨店であるKaDeWeとベルリンにあるスーパーマーケットの食品の値段を比較した。調査したスーパーマーケットは二か所であり、対象とした食品は主にハム・ソーセージとチョコレート。なお、価格の比較の際に使用している値は、特別に記してない限り100gあたりの価格である。
KaDeWe
2.KaDeWeとは
KaDeWeとは、1907年に創業されたドイツの老舗の百貨店である。KaDeWeという名称は、Kaushaus des Westens(カウフハウス・デス・ヴェステンス)の頭文字を取ったものであり、「西のデパート」と訳すことができる。
営業時間は、月~木曜日は10:00~20:00、金曜日は10:00~21:00、土曜日は9:30~20:00で、日曜日と祝日は休業日となっている。また、AMEX、ダイナース、JCB、マスターカード、VISAのクレジットカードを使用することもできる。
また、KaDeWeのホームページによれば、販売エリアは六万平方メートル以上、従業員数は約二千人。地下1階から7階まであり、特に6階のグルメフロアーが魅力である。最寄駅は、地下鉄(U3)Wittenbergplatz駅。
Wittenbergplatz駅
3.比較したスーパーマーケット
今回私が比較に使ったスーパーマーケットはEDEKAとULLRICH。EDEKAグループは、ヨーロッパで最大の流通業者であり、ドイツ食品小売市場で26%の占有率を保持する。また、設立は1898年である。ULLRICHは、ベルリンで三店舗出店しているスーパーマーケットで、私はZoologischer Garten駅にある支店を調査した。
Zoologischer Garten駅前のULLRICH
4.ハム・ソーセージの比較
ハム・ソーセージは、KaDeWe、スーパーマーケットともに、ショーケースに入って売られているものと、元からパック詰めにされ棚に陳列しているものと、大きく二種類がある。
4-1.ショーケースで売られているもの
ショーケースで売られているものの値段の違いは、下の表1のようになった。ハムはKaDeWeのものがスーパーマーケットのものより二倍近く高く、ソーセージは三倍近く高いことがわかる。また、スーパーマーケットでは大きなショーケースが一つだったのに対し、KaDeWeでは、ショーケースに入ったハム・ソーセージのコーナーだけでもいくつかに分かれており、それぞれのショーケースの上に産地と思われる州や国の名前が書いてあった。オーストリアやバイエルン、シュバルツバルト、ホルスティン、ヘッセンといった名前を確認することができた。
表1:ショーケース販売されているハム・ソーセージの価格の違い
KaDeWe
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スーパーマーケット(EDEKA)
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ハム
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3ユーロ代後半
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1ユーロ代後半
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ソーセージ
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3ユーロ代後半
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1ユーロ強
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ショーケース上にHESSENの文字
スーパーマーケットのショーケース
4-2.パックされ棚に陳列されて売られているもの
パックされて売られているソーセージの値段は、KaDeWeとスーパーマーケットであまり差がなかった。KaDeWeの商品の平均値段がショーケースのものと比べて大きく下がったためだろう。また、置いてある商品には両者で同じものが多くみられた。なお、ハムもパック売りされていたが、ここでは省いた。
表2:パックで販売されているソーセージの価格の違い
KaDeWe
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スーパーマーケット(EDEKA)
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ソーセージ
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1ユーロ代半ば
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1ユーロ強
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KaDeWeのハム・ソーセージの棚
5.チョコレートの比較
箱に入ったチョコレートは、KaDeWeでもスーパーマーケットでも多く売られているが、そのほかにKaDeWeではショーケースに入っており、一粒や100g当たりの値段で売っているものがあった。また、KaDeWeで売られているチョコレートは、箱に入って棚に陳列されているものも、ショーケースでばら売りしているものも、どちらもほとんどが各国の有名ブランドのもので、相当多くのブランドがそろっている。
5-1.ショーケースでばら売りされているもの
ショーケースでの販売は、15のブランドがしている。GODIVAやWagner、neuhaus,、teuscherなど、ドイツのブランドだけでなく、ヨーロッパ各国のブランドのものが売られていた。平均価格は約6.2ユーロで、価格の幅は2.5ユーロから8.95ユーロであった。
ショーケース販売の様子
Wagnerのチョコレート(100g5.75ユーロ)
5-2.箱で棚に陳列されて売られているもの
箱で売られているものは、調査したところ最低でも22のブランドのものがあった。ショーケースのものと同様に、KaDeWeではドイツのチョコレート以外にも、イギリスやベルギー、スイス、オーストリア等、さまざまなヨーロッパ各国のチョコレートが販売されている。一方、スーパーマーケットでもKaDeWeにあるようなブランドチョコレートも見かけた。ただし、種類はだいぶ限られているようだ。また、反対にKaDeWeにもスーパーマーケットで手軽に買える類の商品も売っており、同じ商品をスーパーマーケットの価格と比べると大抵のものはスーパーマーケットの方が安く売られていた。しかし、両方の平均値段を出すと、下の表3のような結果となり、そこまで大きく値段の差は出なかった。
表3:チョコレートの価格の違い
KaDeWe
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スーパーマーケット
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ショーケース販売
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6ユーロ代前半
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―
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箱売り
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3ユーロ代半ば
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3ユーロ代前半
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KaDeWeの箱で売られているチョコレート
KaDeWeオリジナルのチョコレート
スーパーマーケットで売られるチョコレート
スーパーマーケットで売られるブランドチョコレート
表4:ドイツで親しまれている板チョコレート「ritter SPORT」の価格の違い
KaDeWe
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スーパーマーケット
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SCHOKOWÜRFELシリーズ
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3.28ユーロ
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2.49ユーロ
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Miniシリーズ
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1.98ユーロ
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1.49ユーロ
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Miniシリーズ
SCHOKOWÜRFELシリーズ
6.その他の食品の比較
最後に、その他の食品の比較として、バームクーヘンとレープクーヘンの値段の比較をする。スーパーマーケットの店員の方の話によると、どちらもドイツのスーパーマーケットではクリスマスの時期にのみ販売しているとのことで、置いてある店とまだ置いていない店があった。
6-1.バームクーヘン
KaDeWeと二か所のスーパーマーケット(EDEKAとULLRICH)で見たが、それぞれで取り扱っているメーカーが異なっており、値段も違っていた。特に、KaDeWeで売られていたものは、スーパーマーケットで売られているものと比較して非常に高価な商品であった。このSchwermerのバームクーヘンとは、1900年のパリ万国博覧会で金賞を受賞した商品で、Schwermerという会社はドイツで100年以上の歴史を持つ老舗チョコレートメーカーのものである。また、ULLRICHで売られていたLAMBERTZのバームクーヘンも1688年創立の老舗のバームクーヘンということが分かった。
表5:各店取扱いバームクーヘンのメーカー及び価格の違い
KaDeWe
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スーパーマーケット
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EDEKA
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ULLRICH
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メーカー名
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Schwermer
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EDEKA
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LAMBERTZ
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値段/グラム数
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7.75ユーロ/200g
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1.65ユーロ/300g
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3.29ユーロ/300g
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Schwermerのバームクーヘン
LAMBERTZのバームクーヘン
6-2.レープクーヘン
レープクーヘンとは、ドイツの伝統的なお菓子の一つで、クリスマスの時期に食べられる。KaDeWeでは、チョコレート売り場の一画にクリスマスに食べるお菓子だけを集めたコーナーがあり、そこにレープクーヘンが置いてあった。中にはかわいらしい缶の中に入っているものや、オルゴール付きの箱に入ったものも売っていた。スーパーマーケットでは、そのような凝ったパッケージのものは見かけなかったが、袋に入ったものはKaDeWeと同じもの(Heaberlin-Metzger社のもの)で、だいぶ安い値段で売られていた。しかし、大きいサイズでチョココーティングとシュガーコーティングのもの両方が入った商品はスーパーマーケットでは置いてなかった。
表6:レープクーヘンの価格の違い
KaDeWe
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スーパーマーケット(ULLRICH)
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大きいサイズのもの(チョコ)
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7.98ユーロ
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3.99ユーロ
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大きいサイズのもの(ミックス)
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6.98ユーロ
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―
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小さいサイズのもの
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4.98ユーロ
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2.39ユーロ
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KaDeWeのクリスマスコーナー
大きいサイズのもの(チョコ)
小さいサイズのもの
7.まとめ
KaDeWeとスーパーマーケットの食品の価格を比較してみて、ハム・ソーセージ、チョコレート、その他お菓子など、どれもほとんどの商品がスーパーマーケットの方が安く売られていることが確認できた。ハム・ソーセージとチョコレート、どちらにおいてもショーケースに入っているものはKaDeWeの方が充実しているが、棚に陳列されているものでは同じ商品もあり、その場合では大抵がスーパーマーケットの方が少し安い価格設定になっているが、それほど価格の違いはなかった。
さらに、レープクーヘンは同じ会社の同じ商品にもかかわらず二倍近い価格の差があった。また、バームクーヘンもKaDeWeで売られていたものはEDEKAで売られていたものに比べ四倍以上の価格であった。しかし、スーパーマーケットでは浅い段ボールのようなものに入れられ山積みで棚に置いてあるのに対し、KaDeWeでは綺麗に棚に並べられていたり、KaDeWeのものはラッピングにリボンがつけられていたりといった違いがあった。
KaDeWeはスーパーマーケットに比べて品揃えがよく、ドイツ以外の商品も多く扱っていた。さらに、店員のサービスの質も良く、英語の話せる店員がいたり、クレジットカードが使用できるため、海外からの訪問者には利用しやすい。また、スーパーマーケットでは商品を入れる袋は有料なのに対し、KaDeWeでは無料でKaDeWeロゴマーク入りの袋に入れてくれるといったサービスの違いも見られた。
KaDeWeで売られているものは高い、というイメージは確かに間違ってはいなかった。だが、スーパーマーケットではないサービスや便利さといった価値があった。商品そのものの価格だけで比較してしまうとKaDeWeはスーパーマーケットより高いという結論になるが、それに付随するサービス面や便利さといった価値を考慮すると、一概にKaDeWeが高いとはいえないのかもしれない。
<参考資料>
KaDeWe "KaDeWe Berlin" 2013.2.10アクセス
サカタウエアハウス株式会社(2009「サカタウエアハウス株式会社ロジスティクス・レビュー第175号」 2013.2.10アクセス
EDEKA "Willkommen bei EDEKA" 2013.2.10アクセス
ULLRICH "ULLRICH –Verbrauchermarkt" 2013.2.10アクセス
Schwermer "Schwermer" 2013.2.10アクセス
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