クライダーシュペンデ
10k2088 秦早織
10k2092 八津川夏美
1.はじめに
環境保護先進国と言われるドイツでは、ごみのリサイクルやその回収システム、エコバッグの利用、さらには政治レベルでも、環境保護を政策の中心にしている「緑の党」が政権に参加するほどであり、人々のエコに対する意識は高い。そんな中で、私たちは衣類の寄付という面でのリサイクルについて関心を持った。それが、「Kleiderspende」である。
以下は、クライダーシュペンデの概要、設置団体の紹介、回収後のリサイクルルートについての報告である。
以下は、クライダーシュペンデの概要、設置団体の紹介、回収後のリサイクルルートについての報告である。
2.Kleiderspende(クライダーシュペンデ)とは
ドイツ語で「Kleider」は「衣類」、「Spende」は「寄付」を意味する。ただし、日常的には、衣類を回収するために設置された大きなボックス自体も指すようだ。この報告でも同様の意味で用いることにする。
また「Kleider」と言っても、衣類のほかに、靴、かばん、シーツ、毛布、ベルト、帽子などさまざまなものを寄付することができる。
また「Kleider」と言っても、衣類のほかに、靴、かばん、シーツ、毛布、ベルト、帽子などさまざまなものを寄付することができる。
クライダーシュペンデはベルリンだけでなくドイツ中に設置されており、一か所におけるコンテナの設置数は、団体によって1個から3個と様々である。私たちがベルリンで見つけたクライダーシュペンデは、住宅街や駅前、大きな通り沿い、公園の近くなどに設置されていた。いつでも誰でも気軽に寄付をすることができるようになっている。
この写真のように、通常コンテナには寄付についての注意書きが貼られている。注意点として以下の4つが一般的なようだ。
- 濡れていたり汚れていたりする物は入れない
- 靴はバラバラにならないようにひとつにまとめて入れる
- 寄付する物をビニール袋などにまとめ入れる
- まとめた袋が多い場合は家まで回収しに来てもらう:但し、回収しに来てもらえる袋の個数は団体によって異なる
3.設置している団体
クライダーシュペンデを設置しているのは、おもにNGOや赤十字などの団体と繊維会社などの企業であった。以下は、私たちがベルリンで調査したクライダーシュペンデを設置している団体と企業である。いずれの団体も児童支援を行っている。
3-2.Familienschutzwerk
児童支援や病気の子供たちへの支援をしている団体。5袋以上で家に回収しに来てくれる。
見つけた場所:Straße der Einheit、Lindenstraße(宿泊したホステルから徒歩10分程の所)
児童支援や病気の子供たちへの支援をしている団体。5袋以上で家に回収しに来てくれる。
見つけた場所:Straße der Einheit、Lindenstraße(宿泊したホステルから徒歩10分程の所)
4.ドイツにおける衣類リサイクルの歴史
リサイクルには、実は古い歴史があり、時代は古代中国までさかのぼる。当時から、古着を繊維に加工し、再生糸や製紙原料にする再資源化が行われてきた。7世紀になりその技術がアラブ世界を渡り、スペインへ伝わる。その後、効率的な機会が開発されたこともあり、衣類の再資源化が中部ヨーロッパに広がった。
製紙原料としての衣類の利用は、ユダヤ人の得意分野として成長し、19世紀まで彼らが市場をリードした。そして、衣類のリサイクル産業の発展とともに、ドイツでは多数の分別産業場と再資源化工場が誕生し、第二次世界大戦頃には、ドイツの衣類のリサイクル産業はピークに達した。
ドイツ赤十字社により始めて衣類が収集されたのは、1964年のことで、ハンブルクでの洪水被害者のだめに行ったのがきっかけだそうだ。
製紙原料としての衣類の利用は、ユダヤ人の得意分野として成長し、19世紀まで彼らが市場をリードした。そして、衣類のリサイクル産業の発展とともに、ドイツでは多数の分別産業場と再資源化工場が誕生し、第二次世界大戦頃には、ドイツの衣類のリサイクル産業はピークに達した。
ドイツ赤十字社により始めて衣類が収集されたのは、1964年のことで、ハンブルクでの洪水被害者のだめに行ったのがきっかけだそうだ。
図:ドイツにおける繊維製品リサイクルルート
5.回収後のリサイクルルート
ドイツの繊維製品リサイクルシステムは赤十字社を中心に、民間による自主的な活動で構成・運営されている。また、赤十字社等の非営利団体の役割として、市民に衣料・繊維製品の回収協力をPRし、コンテナ回収などを自己負担で行う、あるいは古着引取所で回収・保管することが挙げられる。
ドイツで年間に発生する衣類は、年間で約87万tと予想され、実際に収集されるのは、その約65%の58万t。そして、このうちの約半分は海外に輸出されているそうだ。回収された衣類は、①そのまま衣料品として再利用できるもの、②質は落ちるが衣料品として利用可能なもの、③作業用の雑巾・再生糸などに利用するもの、④再利用できないもの=ゴミの4つに分別される。この分別作業に従事する労働者数は、輸送や事務も含め、ドイツ国内で約1万人にのぼる。
独立行政法人中小企業基盤整備機構のウェブサイトによれば、回収された衣類のリサイクルルートである。ドイツ赤十字社を例に挙げると、まずは家庭、事業所や繊維関係の産業から寄付をされる。その後、国内の救援物資として使用されたり、繊維製品選別業に送り、さらに各業者へ分類されたりする。ただしこの時、衣類の一部は赤十字社が繊維製品選別業から再び買い戻し、今度は海外の救援物資として活用される。以前は、アフリカやルーマニア、ポーランド、ロシアなどへの輸出が盛んであったが、近年では徐々に市場規模が減少傾向にあるようだ。
ドイツで年間に発生する衣類は、年間で約87万tと予想され、実際に収集されるのは、その約65%の58万t。そして、このうちの約半分は海外に輸出されているそうだ。回収された衣類は、①そのまま衣料品として再利用できるもの、②質は落ちるが衣料品として利用可能なもの、③作業用の雑巾・再生糸などに利用するもの、④再利用できないもの=ゴミの4つに分別される。この分別作業に従事する労働者数は、輸送や事務も含め、ドイツ国内で約1万人にのぼる。
独立行政法人中小企業基盤整備機構のウェブサイトによれば、回収された衣類のリサイクルルートである。ドイツ赤十字社を例に挙げると、まずは家庭、事業所や繊維関係の産業から寄付をされる。その後、国内の救援物資として使用されたり、繊維製品選別業に送り、さらに各業者へ分類されたりする。ただしこの時、衣類の一部は赤十字社が繊維製品選別業から再び買い戻し、今度は海外の救援物資として活用される。以前は、アフリカやルーマニア、ポーランド、ロシアなどへの輸出が盛んであったが、近年では徐々に市場規模が減少傾向にあるようだ。
6.ドイツにおけるエコの意識
日本で、家庭や事務所から出るゴミの約80%が焼却されているのに対し、ドイツの焼却量は約25%である。しかも、ゴミ収集の徹底化、高温で焼くことによってダイオキシンの発生を抑制するなど、環境向上のため様々な工夫を行っている。けれども、ドイツの取り組みはこれだけではない。以下は、その具体的な2つの例を挙げていく。
1つ目は「緑のマーク」についてである。一般的に、家庭のゴミは自治体が有料で回収するのだが、この「緑のマーク」がついたものはマークを管理しているDSD社という会社が無料で回収してくれる。よって、消費者は必然的に「緑のマーク」がついた商品を購入するようになる。
2つ目はデポジット(預かり金払い戻し)制である。水など飲料用のビンやペットボトルには、あらかじめ商品に容器代が含まれている。そして、空になった容器をスーパーへ持っていくと、容器代が返金されるというシステムである。結果、前記同様に消費者は、必然的に容器を返却しに行く。
1つ目は「緑のマーク」についてである。一般的に、家庭のゴミは自治体が有料で回収するのだが、この「緑のマーク」がついたものはマークを管理しているDSD社という会社が無料で回収してくれる。よって、消費者は必然的に「緑のマーク」がついた商品を購入するようになる。
2つ目はデポジット(預かり金払い戻し)制である。水など飲料用のビンやペットボトルには、あらかじめ商品に容器代が含まれている。そして、空になった容器をスーパーへ持っていくと、容器代が返金されるというシステムである。結果、前記同様に消費者は、必然的に容器を返却しに行く。
このように、ドイツでは社会全体でゴミの分別を徹底している。
7.まとめ
ベルリンの街を歩いていると、案外いたる所でクライダーシュペンデの箱を見つけることができ、実際に私たちも不要になった衣類を回収コンテナに寄付をした。まとめた衣類をそのままコンテナに入れるだけなので、非常に便利である。そして、これはエコにも深く繋がる。例えば、まだ十分きれいなのに、着れなくなってしまった衣類を捨てるのは気が引けるだろう。そんな時、気軽に寄付をできれば、ボランティアもエコできるという一石二鳥である。残念ながら日本ではこのコンテナシステムは、ほぼ取り入れられていない。2001年に「家電リサイクル法」が施行されたが、リサイクル費用は消費者が負担するため、不法投棄も問題視されている。まずは、私たち個人がエコに対する意識を高める必要があるだろう。少しでも、余分なゴミを減らせるよういつか日本でもドイツのようなシステムが導入されることを願う。
<参考資料>
浜本隆志・高橋憲 2002「現代ドイツを知るための55章」明石書店
松田まさお 2007「ドイツ 人のまちづくり」学芸出版社
独立行政法人 中小企業基盤整備機構 2010「第3章 海外の繊維リサイクルに関する取組み」、『「繊維製品3R関連調査事業」報告書』(閲覧日 2012年10月4日)
「ベルリン観光ガイド・通訳・翻訳のベルリンJPツアー」http://berlinjp.com (閲覧日 2012年10月4日)
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